こくほ随想
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| 平成24年度 | 平成37年度 | |||
| 改革後 | 現状投影 | |||
| 介護 | 第1号被保険者 | 4,972円 | 8,200円 | 6,800円 |
| 第2号(国民健康保険) | 2,300円 | 3,900円 | 3,300円 | |
| 第2号(協会けんぽ) | 1.55% | 3.1% | 2.6% | |
| 第2号(組合健保) | 1.3% | 2.5% | 2.1% | |
| 医療 | 後期高齢者医療 | 5,561円 | 6,500円 | 6,400円 |
| 国民健康保険 | 7,600円 | 9,300円 | 9,200円 | |
| 協会けんぽ | 10.0% | 11.1% | 10.9% | |
| 組合健保 | 8.5% | 9.4% | 9.3% | |
公的年金の水準が抑制されるなかで、このような負担増が受け入れられるだろうか。誰もが抱く共通の不安であろう。
振り返ると、介護保険が始まった平成12年度の全国平均の保険料は2,910円であった。それが今では、4,972円へと1.7倍に上昇した。このような急激な負担増が受け入れられたのは、利用者が増え、サービスの価値が認められてきたからである。
特に在宅サービスの伸びが著しい。つい昨日までは、嫁の介護が当然のような風潮があり、他人を家の中に入れたがらないのが日本文化だ、などと言われていた。それが今では様変わりし、街を行き交う訪問介護やデイサービスの事業者の車を見かけることが日常化した。しかも、このサービスを今では自分の親や近隣のお年寄りが利用し、やがては自分も利用する側に回る。こうして介護保険の価値が実感できるようになり、負担増が受け入れられてきたのである。
将来に向けても同様ではないか。介護保険のサービスが必要不可欠なものである限り、一定の負担増は許容されるに違いない。
ところで、『将来推計』の介護と医療の保険料を比べると、改革後の介護保険料の上昇が目立つ。平成21年度では、介護保険料4,160円、後期高齢者医療保険料5,236円で、1,076円ほど医療保険料の方が高かったのだが、今では589円の差に縮小した。それが平成37年度には完全に逆転し、しかも介護保険料の方が1,700円も上回る。
住みなれた地域で、尊厳ある人生をまっとうしたい。その願いに応える上で、医療から介護へ、病院・施設から在宅への政策展開を図る。それによる必然的な結果である。
ただし、『将来推計』には、先送りされた改革事項、すなわち短時間労働者の全面的な適用拡大、被用者保険介護納付金の総報酬割導入、重度化予防に効果のある給付の重点化、それらに連動した低所得者の国保・介護の保険料軽減などは含まれていない。
これが実現し、例えば、介護保険の第1号保険料の低所得者軽減強化について、所要額(1,300億円)の全額を低所得者の保険料軽減に充てる場合、低所得者の保険料水準を3割程度引き下げる効果があるとされている。保険料負担増を緩和する上でも、一体改革を推進したいものである。
記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉
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