手足が冷える主な原因として、自律神経のアンバランスが考えられます。私たちの体は、臓器が集まる体の中心部の温度(深部体温)を約37℃に保つようにしています。その調節を行っているのが自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、体が冷えを感じると交感神経が優位になって手足などの末梢血管を収縮させ、血液を体の中心部に集めて深部体温を維持しようとします。すると、手足の先に血液が行き渡りにくくなり、冷えを強く感じるのです。夏でもエアコンの設定温度が低過ぎたり、冷たい飲食物をとり過ぎたりすると体は冷えて自律神経のバランスが乱れがちに。また、質問者の場合、更年期による女性ホルモンの乱れが自律神経に影響していることも考えられます。
自律神経のアンバランスによる冷えの改善には、体を温めたり心身のリラックスによって末梢血管を拡張させ血行をよくすることが大切です。それにはぬるめの入浴が効果的。また、体の熱エネルギーの約6割は筋肉でつくられるため、運動をして筋肉をつけることも心がけましょう。
なお、手足の冷えには膠原(こうげん)病や橋本病などの病気が隠れていることも。冷えがつらい人は、内科、漢方内科、婦人科などで相談してみましょう。
回答者:渡邉賀子 帯山中央病院 理事長 漢方内科