乗り物酔いは、「動揺病」とも呼ばれ、車やバス、船などで体が揺らされることで頭痛や目まい、冷や汗、吐き気などの症状が起こる病気です。
大きな揺れにより平衡感覚を感じる部分などに強い刺激が加わったときや、目と体からの情報に調和がとれないときに乗り物酔いが起こりやすくなります。後者では、目で文字を追っている最中に、体が車の揺れを感じる「車内での読書」が代表例として挙げられます。
予防するには、進行方向や遠くの景色を見る、揺れの少ない席を選ぶ、横になるなどが効果的。他にも換気をする、空腹や食べ過ぎを避ける、ゆったりとした服装にするのもよいでしょう。体調や気分も影響するので、前日は休息を十分にとって、車内などでは音楽を聞いたり会話をしたりして、楽しく過ごすことが大切です。酔い止め薬も有効ですが、眠気が出るものや、風邪薬やアレルギー用の薬などと併用できないものもあるので、かかりつけ医に相談を。
一時的な乗り物酔いはそれほど心配する必要はありませんが、吐き気や目まいなどが続いて休んでも改善しない、大人になって急に酔うようになった、耳鳴りや手足のしびれなど他の症状がある、といった場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
回答者:堤 剛 東京医科歯科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授