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監修:島村トータル・ケア・クリニック院長/医学博士
島村善行 (しまむら よしゆき) 京都府立医科大学卒。国立がんセンター、千葉西総合病院などを経て 、2001年、千葉県松戸市に島村トータル・ケア・クリニックを開院。 患者の心、体、生活環境などすべての面を考えた全人的な医療を心掛け、在宅ホスピスにも精力的に取り組む。 |
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疲れを残さず 毎日を元気に! 熱中症予防も忘れずに!
年々、夏の暑さは過酷になるばかり。 暑いからと冷房に頼るだけの生活では、 室内外の激しい温度差に体は疲弊する一方。 実はそれが、現代人の夏バテの正体です。 そんな悪循環から脱出し、元気な体を取り戻す 疲労回復のポイントを、入浴と食事を利用した 3段活用で紹介します。
年平均気温は、主要都市部を中心に上昇傾向を示しています。 中でも東京の上昇率は特に大きく、1905年の13.5℃から2004年には17.3℃に上がりました。
熱中症は気温が30℃を超えると激増するといわれています。 炎天下に出る人は、帽子や日傘で直射日光をガード!
夏バテのいちばんの原因は、もちろん暑さ。 でも、それだけではありません。 暑いときほど、キンキンに冷えた飲み物をがぶ飲みしたり、冷房の効いた部屋で体を冷やしたりしていませんか? これが、夏の疲れに拍車を掛ける大きな要因の一つになっています。
冷たい水分のとり過ぎは胃腸を冷やす上、消化液を薄めるので、消化吸収力が低下して、食欲不振を招きます。 また、冷房の効いた室内で長い時間を過ごしていると、汗腺の機能が低下します。 こんな状態の体で、涼しい室内から猛暑の屋外に出ると、突然の激しい温度差に、体温を調節している自律神経も上手に対応し切れずに、 働きが乱れてきます。その結果、血圧も血糖もホルモン分泌も不安定になり、 さらなる心身の不調が続出。寝苦しい夏の夜を過ごしながら、体にも心にも疲労を蓄積させていくことになります。 現代人の夏バテの背景には、下図のような「疲れの悪循環」があります。
夏を元気に過ごすには、この悪循環を断ち切ること。 そのために、まず心掛けたいのは、ぬるめのお湯にゆったりとつかることです。 ぬるめのお風呂が乱れた自律神経のバランスを整え、疲れをときほぐしてくれます。 また食事では、栄養のとり方が重要なカギ。 次項から、その具体的な改善ポイントを紹介します。
私たちの体にある体内時計は、日光を浴びることでリズムが整い、 14〜15時間たつと眠りを誘うホルモンが分泌されます。 早起きをして朝日を浴びれば、自然に早めの時間に眠くなって寝就きも安定してきます。
熱いシャワーで心身をシャキッ!
朝スッキリ目覚め、元気に1日をスタートするには、起床後に熱めのシャワーを浴びるのがおすすめ。 自律神経の活動モードを司る交感神経の働きが高まって、身体がシャキッと覚醒します。
ただし、あまり長い時間浴びていると発汗が起こり、体が疲れてしまうので、朝のシャワーは短時間で切り上げるのがコツです。
ぬるめのお風呂でゆったりとリラックス
夜は、朝とは逆にぬるめのお湯にゆったりと。 じっくりつかっていると、自律神経の休息モードを司る副交感神経が優位になって、心も体もリラックスしてきます。 1日の疲れが取れ、そのまま床に就けば、安眠も得やすくなります。
体内の血管は、暑さで広がったかと思えば、冷房でキュッと収縮。 この繰り返しで負担の掛かった全身を、ぬるいお風呂で休ませましょう。
シャワーマッサージで特効ツボを心地よく刺激
ツボの正確な位置がわからなくても、刺激する範囲が広いので、だいたいの位置にあてればOK。 手が届かない部分を刺激できる点がメリットです。水圧によって血行もよくなり、筋肉のこりもほぐれて一石三鳥。
体力づくりの土台はやはり、バランスのよい食事から。1日3食、必要な栄養素をとることが基本ですが、 特に夏場は疲労回復やエネルギーの産生に大切な栄養素を、積極的に補いましょう。
その代表が、下に挙げた3つの栄養素。意識して組み合わせると、暑さや温度変化に対応できる体づくりに役立ちます。
特に、酢のさっぱりとした酸味や、にんにく、にら、ねぎなどの強い香味は、 食を進めてくれる名脇役。暑さで食が細くなりやすいこの時期、上手に食卓に取り入れましょう。
朝食は野菜と果物をしっかりと
暑い夏は、ビタミンやミネラルが汗や尿で失われやすいので、朝食のときに野菜や果物などを積極的にとりましょう。 時間がないときには、せめて1杯、野菜やフルーツのジュースを。朝の水分たっぷりの果物は、熱中症の予防にも役に立ちます。
外出時にも水分補給を忘れずに
熱中症の予防で大切なのは水分補給。スポーツドリンクならミネラルなども一緒に補給できて効果的です。 水に梅干しや少量の塩を加えてもいいでしょう。いつでも補給できるように、外出時には携帯を。