人間の腕や脚などの皮膚に浮き出る静脈は青色に見えますが、実際は灰色で、目の錯覚によって青色に見えていることが明らかになりました。
錯視(目の錯覚)研究の第一人者である立命館大学の北岡明佳教授らが行った実験によれば、腕や脚を撮影し画像処理ソフトで解析すると、静脈の色は光の三原色の赤、緑、青色のうち青色の数値が最も少なく、黄色がかった灰色の値を示す結果になったということです。
色は周囲の色に影響を受けて、本来の色とは異なって見えることがあります。これは目の錯覚のひとつで、「対比現象」と呼ばれています。灰色の静脈は周囲の皮膚の色に影響を受け、目から入った情報が脳で複合的に処理され、本来の色ではなく青色として認識されているのではないかと考えられています。
腕や脚の画像にモノクロ(単色)処理を加えると、灰色の静脈だけをくっきりと浮かび上がらせて見ることができるため、今後は静脈注射の補助や練習用教材への活用が期待されています。注射の際に静脈がなかなか見つからず、何度も針を刺されて痛い思いをした人には、嬉しい知らせかもしれません。