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指導/島村トータル・ケア・クリニック院長・医学博士 島村 善行

生活習慣とがん

毎日の心がけ次第で、防げる病気

がんは、細胞の中の遺伝子が傷つくことによってがん遺伝子が目覚め、がん化した細胞が無制限に増殖することで起こります。突然に襲ってくる怖い病気と思われがちですが、近年の研究で、がんの原因の約3分の2は、喫煙や食事などの生活習慣にあることがわかってきました。

厚生労働省の研究班は、1990年から14万人を追跡調査して、生活習慣や環境と病気の関係を研究。その結果をまとめたのが、国立がんセンターによる「がん予防の指針」の8カ条です。

なかでも最も重要なのが「たばこ」。喫煙者が禁煙することで、がんになる確率を3分の2にすることができるとしています。そして、最近注目されているのが、肥満とがんの関係です。いま話題のメタボリックシンドロームの人は、胃がんの予防に働くホルモンの血中濃度が低く、胃がんのリスクが高まるという研究報告があります(東大腫瘍外科)。また、肥満によって起こる糖尿病の患者は、発がん率が高いという調査結果も明らかになりました(国立がんセンター)。

ですから、まずたばこや太りやすい食事などの生活習慣を見直し(一次予防)、定期的にがん検診を受けることで(二次予防)、多くのがんは予防が可能な病気なのです。

今日から始めませんか?がんを予防する生活8カ条


たばこを吸わない

他人のたばこの煙もできるだけ避ける


喫煙すると、がんリスクは男性1.6倍、女性1.5倍
お酒はほどほどに

日本酒換算で1合以内が適量


1日3合以上飲む人のがんリスクは、ほとんど飲まない人の1.6倍
肝炎ウイルスの
有無を調べる

肝がんの重要な原因。感染の有無を検査し、感染者は治療を

塩分の摂取は
最低限に

1日10g未満。塩辛い食品は週1回以内に


塩蔵魚卵(タラコ、イクラなど)を毎日食べる人は、ほとんど食べない人に比べ、胃がんリスクが男性2.4倍、女性3.5倍
定期的に
適度な運動を

毎日60分程度の歩行と、週1回汗をかく程度の運動を

太りすぎない、
やせすぎない
BMI(体重kg÷身長m÷身長m)で27を上回らない、20を下回らない
BMI19未満の男性グループは、23〜24.9のグループに比べ、がんリスクは1.3倍、30以上の肥満グループもがんリスクが高い傾向に
野菜は毎食、
果物は毎日とる

合わせて1日400g以上を


週に1〜2日食べる人は、ほとんど食べない人より、胃がんリスクが20〜50%低下
熱い飲食物は
最小限に

熱い飲食物はなるべく冷ましてから

※リスクデータ「多目的コホート研究の成果」(厚生労働省)

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