1日の終わりに、その日味わった一番嫌な出来事を思い出して
落ち込んでしまうことがあります。
嫌な気持ちを抱えたままでは、穏やかな気分で眠ることができず、
翌日も晴れやかな気分で迎えられません。
以前、美容家IKKOさんの講演を聞いたことがあります。若いころから苦労され、辛い思い、悔しい経験もたくさんなさったそうですが、最後にこんな話をしていました。
「毎晩、寝る前に、その日1日にあった“良かったこと”を思い出すといい。色々な悔しい思い、苦々しい体験が頭に思い浮かぶかもしれないけれど、そういう気持ちを眠る直前に思い出すより、1日の最後は、“良かったこと”を思い浮かべて寝る。そうすると、お肌にもいいんですよ」
心理学者のセリグマンが提唱する「3GTs:Three Good Things」は、まさに「寝る前に3つの良い出来事」とそれが起こった理由や経緯などを思い出してみようという考え方です。
方法はとてもシンプルで、毎晩寝る前に「3つ」の「良かったこと(幸せだったこと)」を思い出すだけです。
ベッドに入り、頭の中で思い浮かべるのもよし、文字にしてみるのもよし。日記に書く人もいるでしょうし、SNSで毎晩発信しているという人もいます。
寝る前に「3つ」の良かったことを考えて、良い気分で眠りにつけば、幸せな気分で朝を迎えることができます。人は一人で生きているわけではなく、多くの人の有形無形の支えに助けられて日常を送ることができていると気付くこともできるでしょう。また、良かったことをもたらしてくれる環境や自分の周りの人への感謝の気持ちも湧いてきます。
とにかく、「3つ」というのがポイントです。3つ見つけようとすると、「良いことが起こるよう意識して過ごす」「良いことを見つけられるようアンテナを立てる」という方向に「意識」が向きます。これを繰り返すうちに嫌なことよりも良いことに意識が向くようになります。仮に多少嫌なことがあっても、嫌なことばかり考えてしまうのではなく、何か良いことを探そうと考えることで気持ちも前向きになるのではないでしょうか。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。1986年日本DEC入社、IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『はじめての後輩指導』(経団連出版)、『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)など。