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睡眠と体のリズム

体内時計と、睡眠と覚醒のリズムは深く関わっています。では睡眠と覚醒のリズムが崩れたとき、どう修正すればよいのでしょうか。

浅い眠りと深い眠り

一晩の睡眠経過

睡眠中は「レム睡眠」という浅い眠りと、「ノンレム睡眠」という深い眠りが交互に現れます。

レム睡眠時の脳は覚醒状態に近く、体は弛緩します。夢を見るのはこのときが多く、体は弛緩していて動きません。意識があるのに動けない「金縛り」は、この状態のときになります。

ノンレム睡眠は深い眠りですが体は動き、寝返りも打てます。成長ホルモンをはじめとするホルモン分泌などもこのときに行われています。

レム睡眠とノンレム睡眠は図のように繰り返し、始めはノンレム睡眠がより深く長く出現し、起きる前には浅めで短いレム睡眠が多くなっていくのが一般的な睡眠のリズムです。このリズムは1回1時間半くらいで繰り返し、4~5回繰り返すと、熟睡感と快適な目覚めが得られるといわれています。

ショートスリーパーとロングスリーパー

イラスト

ところで、睡眠のリズムを4~5回繰り返すには、7~8時間になるはずです。では4~5時間しか眠らないショートスリーパーや、9時間以上眠るロングスリーパーの睡眠はどうなっているのでしょうか。
ショートスリーパーの睡眠を調べてみると、レム睡眠が短く、ノンレム睡眠が長いため、夢を見ずに深く眠っているようです。

逆にロングスリーパーは寝つきが悪いため深い眠りが訪れるまでに時間がかかり、浅い睡眠を繰り返す傾向があるようです。

睡眠時間の長短に関わらず疲れが取れて熟睡感があれば問題ありませんが、本来7~8時間の睡眠を必要とする人が短時間睡眠となっている場合は、疲労の蓄積がいずれ心身の不調となって病気になる危険性が高まるので、注意が必要です。

また、長時間寝床にいると睡眠の質が落ち、深い眠りを得られなくなることも。1回の睡眠は8時間程度までにし、寝床に入るのは睡眠時限定にしましょう。

体内時計と、睡眠と覚醒のリズム

人間の体内時計は約25時間といわれています。この周期は、毎日同じ時間に起き、日光を浴びることで24時間にリセットされます。

日光を浴びないと睡眠と覚醒のリズムが1日約1時間ずつ後ろにずれ、社会生活が営めなくなったり、生体バランスが崩れるため体温・ホルモン分泌・心拍数などの生理的機能のリズムも崩れてしまったりします。社会生活を健全に保つためには毎日同じ時間に起き、体内時計をリセットすることが大切です。

なお、体内時計が「活動モード」なのは、起床後12~13時間程度。その後は「お休みモード」になり、徐々に眠くなります。ですから朝6時に起きた人は、18時~19時までが活動しやすい時間帯。22時過ぎにはかなり眠くなるはずです。作業効率も落ちるので、重要な仕事や勉強を夜遅くにするのはやめたほうがよいでしょう。

睡眠と覚醒のリズムを修正するには

仕事の状況や職種によっては、徹夜することやごく短時間の睡眠になること、夜勤で同じリズムで生活できないことなどもあるでしょう。こんなとき、どのようにリズムを修正すればよいでしょうか。

短時間睡眠が続くとき

繁忙期などに短時間睡眠が続いたとき、一段落ついた後にはたっぷり眠りたいものですが、一度の睡眠は8時間までとしましょう。長時間眠るほど疲れが取れるわけではなく、寝過ぎは寝不足と同じくらい睡眠のリズムを崩し、心身に悪影響を与えます。通常通りに起きて、普段のリズムを取り戻すことが大切です。

早朝に起きるとき

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普段7時間眠っている人が、3時間早く起きなければならないときは、就寝時間を2時間早めてください。睡眠時間は1時間短くなりますが、6時間寝ればなんとかなります。なかなか眠れなくても2時間前には寝床に入り、体を休めましょう。6時間を目標に、少しでも眠ってください。起きられるか不安で徹夜すると、脳の働きが悪くなります。

夜勤のとき

夜勤であらかじめ徹夜をすることがわかっている場合、前夜まではいつもと同じ時間に眠ります。夕方から勤務で昼間時間があっても眠らずに、就寝は日勤のときと同じ時間に。

夜勤明けは休日の場合が多いようですが、日中に眠るとリズムが崩れます。眠くても我慢し、夕飯を早めにとり、2時間程度休息をとってから就寝。翌朝は日勤と同じ時間に起きましょう。

睡眠Q&A

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理想の睡眠時間は?
 およそ7時間といわれています。
 国内で睡眠時間と死亡率について40~79歳の日本人を対象に調べた調査(JACC Study 2009年)では、7時間睡眠のグループが最も死亡率が低く、睡眠時間が短くても長くても寿命が縮まることがわかりました。
 毎日、7時間眠るのは仕事上難しいという人でも、週に3日は7時間睡眠を確保しましょう。睡眠の質が改善し、不調感が軽減します。
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