麻疹(はしか)は、免疫のない人が感染するとほぼ100%発症します。鼻水などのかぜのような症状に加え、高熱や激しい咳、全身に現われる真っ赤な発疹などがあり、重症感の強い感染症です。肺炎や脳炎など重篤な合併症を引き起こすことも稀ではありません。免疫がなければ大人でも発症し、子供より重症化しやすいといわれています。
麻疹は1度感染すると再び感染しないといわれていますが、最近は大きな流行がなく、麻疹にかかったことがない人も増えています。また、空気感染するためマスクや手洗いなどでは予防できません。唯一有効な予防法が、2回のワクチン接種です。
現在日本では、小学校入学までに2回、ワクチン(多くは麻疹風疹(MR)混合ワクチン)を定期接種で受けられますが、世代によってはワクチン未接種・1回だけの接種の人もいます。海外から麻疹ウイルスが持ち込まれる機会も増えているため、ワクチンの接種状況や、血液検査で抗体の確認をしておくと安心です。感染歴や予防接種歴が曖昧・不明な人は感染リスクを考慮し、医師・小児科医などに相談し、ワクチン接種の検討をおすすめします。
もしも麻疹が疑われる症状が現れた場合は、周囲への感染を防ぐため、電話などで医療機関に相談の上、速やかに受診してください。
生年月日 | 定期接種の対象回数 |
---|---|
〜1972年(昭和47)9月30日 | なし |
1972年(昭和47)10月1日〜 1990年(平成2)4月1日 |
1回 |
1990年(平成2)4月2日〜 2000年(平成12)4月1日 |
1回〜2回* |
2000年(平成12)4月2日以降 | 2回 |
* | 2008(平成20)年度から5年間は、MRワクチンの定期接種対象者が拡大され、中学1年生相当と高校3年生相当の人に、2回目のMRワクンが定期接種として導入されていました。 |
など
回答者:岡部信彦 川崎市健康安全研究所 所長