ドロドロ血液が血管を詰まらせる 脂質異常症
血液が「サラサラ」「ドロドロ」などといいますが、血液の中に異常に脂質が増えたドロドロの状態がまさに脂質異常症。そのまま進行すると命にかかわる重大な病気を招くため、注意が必要です。
血液の中に脂質が増えた、いわゆる「ドロドロ」血液は、血管をスムーズに流れなくなり、血管を傷つけたり、詰まらせたりして動脈硬化を進行させます。
ドロドロ血液になる脂質異常症には、コレステロールを全身に運ぶLDL（悪玉）コレステロールが多い高LDLコレステロール血症、不要なコレステロールを体外に排出するHDL（善玉）コレステロールが少ない低HDLコレステロール血症、そして中性脂肪が増え過ぎる高トリグリセライド（中性脂肪）血症の3つのタイプがあります。
高LDLコレステロール血症による動脈硬化で恐ろしいのが粥（じゅく）状硬化。余分な脂質が血管壁に入り込んで血管の内腔を狭めて血管をふさぎ、心臓病や脳卒中などを引き起こす原因になります。
脂質異常症リスクチェック
- お菓子や果物についつい手がのびる
- お酒を毎日たくさん（1合以上）飲む
- 脂質異常症、狭心症や心筋梗塞、
脳卒中にかかった近親者がいる - 血糖値や血圧が高め
- 仕事が忙しく、ストレスが多いほうだ
- 食事や睡眠時間など生活リズムが不規則
- 魚より、脂っこい肉料理が好き
- 野菜や豆腐、海藻類はあまり食べない
- たばこを吸う
- 疲れているのに眠れず、休んでも疲れがとれない
- 車やエスカレーターを利用し、日頃あまり歩かない
- 太り気味だ
脂質異常症の原因のほとんどは生活習慣の乱れ。中でも食べ過ぎや偏食などの食生活が最大の原因です。低HDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症は、生活習慣の改善が最大の治療法です。
食生活の改善は、摂取エネルギー量を適正にし、バランスよく食べることが基本。その上で、高LDLコレステロール血症の場合は、コレステロール値を上げる食品を控え、下げる食品を積極的にとりましょう。食品自体にコレステロールの多い鶏卵や魚卵、レバーなども控えめに。
高トリグリセライド血症の場合は、砂糖や果物などの糖質とアルコールのとり過ぎにもご注意を。
- ゆっくりとした有酸素運動を
- 運動には、肥満予防のほか、動脈硬化を防ぎ、心臓病や脳卒中など、脂質異常症が引き起こす恐ろしい病気を予防する効果が期待できます。薬と違い即効性はありませんが、継続すればゆるやかに効果が出てきます。無理せずに気長に続けることが大切です。
- スパっと禁煙
- ニコチンは、中性脂肪の原料である遊離脂肪酸を増やし、さらに血中のLDLコレステロールの酸化を促し、動脈硬化を進行させたり、
HDLコレステロールを減少させた
りします。スパっと禁煙を。
- ストレスをためない
- 強いストレスはホルモンの分泌を狂わせ、血中にコレステロールや中性脂肪を増やします。ストレスから暴飲暴食に走れば、
脂質異常症はますます
悪化することに。
上手にストレスを
解消しましょう。
薬を飲めば安心!?
脂質異常症の予防・改善だけでなく、健康の維持には欠かせない運動。しかし、間違った運動法では効果も半減してしまいます。
例えば、競技性が高く、緊張や興奮をしやすい運動は、ついつい自分のペースを乱しがちになるのでおすすめできません。また、呼吸を止めて瞬発力で行う運動は、過度の血圧上昇を招くことがあります。脂質異常症の改善を目的とした運動には向きません。
ほかにも、以下の点にご注意を。持病のある人などは医師に相談することも必要です。
- 体調が悪いとき、天候が悪いときは無理をせずに休むこと。また、運動中に気分が悪くなったら、すぐに中止してください。
- 軽い柔軟体操でウォーミングアップをして体をほぐしてから運動を始め、終わったら同じようにクーリングダウンを行います。
- 運動前、運動中はこまめに水分補給を。お茶や薄めたスポーツドリンクなどを携帯しましょう。
- 肥満の人は関節や骨に負担がかかり、けがをしやすいので、ひざへの負担が少ない水中歩行や平地でのウォーキングがおすすめ。
監修：砂山 聡（水道橋メディカルクリニック院長）