全身の血管にダメージを与える 糖尿病

 日本では成人の約2割が糖尿病かその予備群と推計されていることをご存じですか。原因のほとんどは食べ過ぎや運動不足など生活習慣の乱れ。予備群の人は、生活習慣を改善すれば糖尿病への道を避けられる分岐点に立っているのです。

糖尿病特有の恐ろしい合併症

糖尿病の合併症

 糖尿病は、インスリンの不足や働きが鈍ることで、血液中にブドウ糖が慢性的にあふれ出す病気です。余ったブドウ糖は血管を刺激して、全身の血管を傷めます。
 糖尿病の恐ろしさは、その合併症にあります。3大合併症といわれる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、末梢神経障害は放っておくとほぼ現れる合併症で、毎年多くの人が失明したり、足を切断したりしています。ただし、日常的に血糖をコントロールすれば、3大合併症にかかるのを防ぐことは可能です。
 また、動脈硬化も見過ごせません。高血圧や脂質異常、肥満などとの相互作用で進行し、やがては心臓病や脳卒中などの命の危険をも招きます。生活習慣の改善により、高血糖だけでなく、高血圧や脂質異常、肥満などを改善していくことが必要です。

糖尿病リスクチェック

予防・改善のポイント こんな食習慣・食行動にご用心!

 糖尿病の最大の危険因子は肥満です。まずは食べ過ぎないことと規則正しくバランスのよい食事が欠かせません。
 満腹まで食べず、「まだ少し食べられる」というくらいではしを置きましょう。無意識のうちに食べ過ぎてしまう人は、食べ方にも問題があるはず。今すぐ改める必要があります。

こんな食習慣・食行動にご用心!

さらにプラスα!日常の中からリスクを遠ざける!

生活の中で
運動量を増やす
 わざわざジムに行かなくても、運動量は増やせます。階段を利用する、できるだけ歩く、電車の中では立つなどの工夫で、
エネルギーを消費しましょう。illust
今からでも禁煙!
 たばこに含まれるニコチンは血糖値を上昇させ、高血糖で弱った血管をさらに傷つけます。糖尿病合併症の発症リスクを
跳ね上げてしまうので、
ぜひ禁煙を。illust
お酒はほどほどに
 お酒は意外と高エネルギーな上、飲みながらの食事は食べ過ぎになりがちです。適量を心がけ、週に2日は連続した
休肝日をとってください。
お酒は健康的に楽しみ
たいですよね。illust

自分の手で適切な食事量がわかる「塩山式手ばかり」

 自分の手を使って自分に合った食事の量を知ることができるのが、甲州市・健康づくり推進協議会が作成し、推進している「塩山式手ばかり」です。体の成長に比例して大きくなる手を物差しとして利用するのが特徴で、簡単に1回の食事に必要な炭水化物・たんぱく質・野菜の量の目安を知ることができるため、十分な栄養をとりながら、食べ過ぎを防ぐことにつながります。

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炭水化物(主食)の1食分の量

ごはん 両手に乗る量
パン 片手に乗る量
めん 両手に乗る量

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たんぱく質(主菜)の1食分の量

お肉(厚切り)
手のひらの大きさ
お肉(薄切り)
片手に3〜4枚
魚の切り身 片手に乗る大きさ

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野菜(副菜)の1食分の量

ゆでたり、煮たり、
炒めたりした野菜
片手に軽く山盛り
生野菜 両手に山盛り

参照:甲州市ホームページ http://www.city.koshu.yamanashi.jp/kurashi/files/1150076375699.pdf

監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)