2月 ストップ!大病院のいきなり受診

<監修>
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル)理事長

山口 育子 やまぐち いくこ

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML:
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が協働する医療の実現を目的に、電話相談やセミナー等、さまざまな活動を展開。

「医療機関を使い分けて、時間もお金も節約を!」
「大病院志向」から抜けだそう

「風邪やちょっとした腹痛のような軽い症状でも、地域の診療所より、最新の医療機器が揃って専門医のいる大きな病院の方が安心できる」

そう考えて、体調が悪くなるといきなり大学病院や総合病院などを受診する人がいます。しかし、最先端の医療設備が整っているからといって、どんな症状の患者にも最適な医療が提供されるわけではありません。しかも大学病院などの外来は、待ち時間が長い上に数分で診察が終わることもしばしば。軽症で受診する人が多ければ、その傾向は助長されるばかりです。

そもそも大学病院のような医療機関は、診療所(クリニック)では難しい専門の治療を行う施設です。その必要がない患者が押しかけると、本当に高度な治療が必要な人の受診を妨げることにもなりかねません。


まずはかかりつけ医に相談を

そのため、入院用のベッド数が200床以上の病院にかかるには、原則として医師の書いた紹介状(診療情報提供書)の持参が求められ、紹介状のない患者には、初診料と別に紹介状がない場合の特別料金を徴収してもよいことになっています。これまでは

各病院の任意でしたが、2016年4月から、高度医療を提供する特定機能病院やベッド数が500床以上の病院では、特別料金が義務化される見通しです。

少し体調が悪いと感じたときはもちろん、専門的な検査を希望する場合などでも、頼りになるのが日頃から健康の相談に乗ってもらえるかかりつけ医です。必要があるときには、速やかに適切な医療機関を紹介してもらえます。紹介状には病状や検査結果が添えられるため、紹介先での診察もスムーズで、検査の重複も防げ、時間と費用を節約できます。


自分に合った理想の医師を探そう

それでは、かかりつけ医はどうやって選べばよいのでしょう。近所の評判を聞くのもよいですし、健診のときなどに診療所や医師の様子をよく見るのも一つの手。そして、医師や診療所に自分が求める条件――例えば「経験が豊富」「説明が分かりやすい」「高圧的でない」「女性の医師」「予約制で待ち時間が少ない」など――を日頃から考えておくことも大切です。

自分に合ったかかりつけ医をもち、体調が悪いときは、まずはそのかかりつけ医のいる診療所へ行く。それが、時間とお金を無駄にせずに、健康を守るコツです。


紹介状がないと…
紹介状はありますか? ないです。
一通り検査をしましょう。待合室でお待ちください。初診料、検査料に加えて特別料金が含まれます。
紹介状があると…
紹介状はありますか? あります!
紹介状に経緯詳しい検査結果も添付されてるな。無駄な検査もしないで済んだし、早く終わったな。

ご存知ですか? 地域医療連携

地域医療連携とは、役割や特色の異なる地域の医療機関が緊密に連携して、患者に効率的で適切な医療を提供するもので、厚生労働省の指導により、「病診連携」(病院と診療所の連携)、「診診連携」(診療所と診療所の連携)などが進められています。

たとえば、病診連携では、かかりつけ医から必要に応じて病院へ紹介が行われるだけでなく、専

門的な診断・治療が終わって症状が安定したときには、患者が身近な医療機関で治療を継続できるよう、病院から診療所に紹介が行われます(逆紹介)。症状によっては、日常の健康管理を行うかかりつけ医と、定期的な検査や治療を行う病院の医師が共同して治療を行う二人主治医制を取り入れる医療機関も増えています。