あいさつはコミュニケーションの基本であり、職場の活性化にも欠かせないものです。あいさつ一つで雰囲気が明るくなり、お互いに気持ちよく仕事ができます。しかし、こちらから元気にあいさつをしても、相手が返してくれないケースがあります。
朝起きたら「おはよう」、人に会ったら「こんにちは」や「こんばんは」と、あいさつすること。小さい頃、私たちは親からこう教わります。小学校に入学すると、まずはあいさつを習うはずです。会社でも新入社員は、ビジネスマナーとして真っ先にあいさつの仕方を指導されます。
私たちが親や教師、上司からあいさつを徹底されてきたのは、あいさつが人間関係を構築するための第一歩であるだけでなく、「あなたの敵ではありませんよ」「安心してください」といったことを伝え合う合図にもなっているからです。だから、職場などで自分からあいさつをして何も反応がないと、「聞こえなかったのかな…」「嫌われている!?」と不安な気持ちになってしまいます。
ある女性から聞いた話です。中途採用で入社した企業で彼女が割り当てられた席は、周囲が自分よりも年上の人たちばかりでした。毎日あいさつをしても、返事をしてくれる人はごく少数で、しかも聞こえるか聞こえないかというほど小さな声で反応するだけだったといいます。
しかし、彼女は諦めず、毎日「おはようございます」「お先に失礼します」と言い続けました。すると、2週間ほど経ったくらいから、あいさつに応じてくれる人が出始めて、最終的にはそのエリアにいる人全員があいさつを返してくれるようになったそうです。「今では皆さんと仲良しなのよ」とニコニコしながら話してくれました。
彼女は「返事がなくても、自分からあいさつする」と心に決め、継続したことで周囲を動かしたのです。
あいさつが返ってこないと、「もういいや」と諦めがちですが、相手が聞こえていない場合や、考え事をしていて反応し損なっている場合があります。また、「照れくさい」という理由で返していない人がいるかもしれません。だから、相手の反応は二の次です。一度や二度スルーされたからといって自分もあいさつをやめてしまうのではなく、根気強く続けることが大切です。
あいさつを返してもらうためのヒントを挙げるとすれば、あいさつに相手の「名前」を添えること。「山本さん、おはようございます」「田中さん、お先に失礼します」という具合にあいさつすれば、相手はたいてい反応してくれます。
もちろん、全員の名前をいちいち呼ぶわけにはいきませんが、今日は「この人の“あいさつ返し”をもらいたい」と決めて、その人の名前を呼びかけてみるとよいかもしれません。一度でも反応を引き出すことができれば、そこから徐々に相手とあいさつの交換ができるようになるでしょう。
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