今、見えること本当に真実?~不満を持つ前にするべきこと~

人は自分の目に映る出来事を「真実」と思いがちです。しかし、それは「あなたがそのようにとらえた」だけであり、真実とは限りません。どうすれば「正しい姿」は見えてくるのでしょうか……。

あるリーダーから聞いた話です。新入社員のAさんは優秀で、量や内容的に1日かかりそうな仕事も15時くらいには終えて、日報を書くなどして定時まで過ごし、静かに帰宅するそうです。リーダーが気になったのは、Aさんは他の先輩たちが忙しそうにしていても、手伝いの声かけをしないという点でした。「やる気もあり優秀なのに、そこが唯一ザンネンだ」と

思っていたところ、周りの先輩たちも「あいつ、できるやつだけどチーム全体のことを考えていないよね」などと言い、Aさんの評判は悪くなってしまったそうです。

そこで、リーダーはAさんに直接気持ちを伝えることにしました。
「自分の仕事が終わった時は、“何かできることはありませんか?”なんて言ってくれるといいんだけどな」

すると、Aさんは目を丸くして、こう言いました。

Aさんは周りには「優秀だが、自己中心で協調性のない人」と思われていましたが、Aさん自身は先輩たちに気を遣っていたのです。そこでリーダーはAさんに「仕事はチームで分担して行っているので、人が手を貸すというのはおこがましいとか、仕事を奪うといったことではない。どんどん声をかけてくれると助かる」と伝えました。

もともと仕事熱心だったAさんはすぐに納得し、翌日からは自分から周囲に働きかけ、先輩たちとの関係も良好になったとのことです。

仕事だけでなく、プライベートの場合でも・・・

イラスト

仕事のことで落ち込んでいた女性Bさん。帰宅した際、Bさんの夫は彼女に声をかけたり慰めたりすることはありませんでした。そんな夫の態度にBさんは、「私が落ち込んでいることに気づかないの?“どうしたの?”って聞いてくれてもいいじゃない!」と不満を伝えると、夫は、「姿を見た瞬間に何かあったとわかったよ。だからそっとしておいてあげようと思ったんだけど……」と答えました。

まずはフィルターを取り除いてみる!

Bさんは、夫は落ち込む自分に気づかない「鈍感」であると思い込み、腹を立てていましたが、夫はBさんの普段との違いをちゃんと「敏感」に察知し、あえて声をかけなかったというわけです。これも、互いを思い、行動したものの、相手に誤解を招き、それを会話によって解決することができた例ですよね。

私たちは自分の持つ知識や経験、考え、期待によって加工されたフィルターで世界を見ています。そして、それを「真実」と思ってしまうことがあります。まずはそのフィルターを取り除いて見てみること。そして相手とよく会話をすること。そうすれば相手の考えや気持ちを理解することができ、「正しい真実」が見えてくることでしょう。

イラスト

メニューへ戻る

Copyright (C) 社会保険出版社 All Rights Reserved.